遺産分割協議とは、
相続人の全員の合意で故人(被相続人)の遺産の分け方を決めることです。遺産分割協議の内容を書面にしたものを、遺産分割協議書といいます。
故人(被相続人)が遺言書を残していれば、原則、遺言書に従い遺産を相続していきます。遺言書が無かった場合や一部の財産しか遺言書で指定されていなかった場合に、遺産分割協議を行ないます。相続人全員で誰が何を相続するかを決めて、書面に記して記名押印(実印)します。
遺産分割協議書は、相続人全員が合意した内容を明らかにするものであり、「契約書」のような性質を持ちます。また、遺産分割協議書によって、対外的にも協議の内容を証明することになるので、遺産分割協議書は、「証明書」のような性質も持ちます。この遺産分割協議書が整うと、相続人が遺産を得ることができるようになります。
もし、相続人のご事情等で遺産分割協議ができない場合などは、早めに専門家にご相談ください。
遺産分割協議に、期限はあるのでしょうか?
実は、遺産分割協議には法律上、いつまでに、と言った期限はありません。ただ、期限が無いからと言って、いつまでも遺産分割協議をしなくても良い、ということではないのです。
2021年に行われた民法改正により、相続開始後10年が経つと、特別受益や、寄与分について主張できなくなりました。
特別受益とは、被相続人(亡くなった方)が生前に財産を一部の相続人に渡していた場合、すでに財産を受け取った相続人の相続財産を、法定相続分より少なくする制度です。例えば、一部の相続人だけが、住宅資金の援助を受けたり、留学費用等の多額の学費の支援を受けていたケースが考えられます。
寄与分とは、被相続人が財産を維持・形成したことに貢献した相続人がいる場合、財産の維持形成に貢献した相続人が相続する財産を、法定相続分より多くする制度です。例えば、被相続人の事業を無償で手伝ったり、仕事を辞めて入院に付き添ったりしたケースです。
特別受益や寄与分は必ず考慮しなくてはならないわけではありませんので、上記のケースに当てはまったとしても、考慮しない内容の遺産分割協議を行うこともできます。
特別受益や寄与分をを考慮した内容での遺産分割協議を希望する場合は、相続開始後10年以内に遺産分割協議を行いましょう。
相続開始後10年を過ぎると、法定相続分に従って財産を分けることになります。相続人全員が同意すれば、法定相続分とは異なる割合で財産を分けることもできますが、遺産分割協議がまとまらない場合は裁判所は法定相続分に従って財産を相続させるよう審判を下すことになります。
10年を過ぎて特別受益や寄与分を主張した場合、主張は認められず、法定相続分以上の相続財産の取得は難しくなると言えるでしょう。
民法改正は2023年4月1日から施行されます。
施行日以前に発生した相続にも適用されます。なお、猶予期間が設けられており、施行日から5年以内に期限が来る場合は、施行日から5年以内であれば特別受益や寄与分を主張できる、とされています。
民法改正と併せて不動産登記法が改正され、今まで義務ではなかった相続登記について、『3年』の期間制限が設けられました。
相続財産に不動産がある場合、不動産の相続が発生し所有権を取得したことを知った日から3年以内に不動産の名義変更登記をしなければなりません。また、遺産分割協議が成立した日から3年以内に名義変更登記をすることが義務づけられています。
つまり、3年以内に遺産分割協議がまとまらない場合は、いったん3年以内に法定相続分に従った内容で名義変更登記を行い、遺産分割がまとまった後に再度遺産分割協議の内容に従った内容で名義変更登記をすることになります。ただ、この方法をとる場合、相続登記の義務は免れますが手間とコストがかかりますので、新たに『相続人申告登記』の制度が設けられました。
相続登記をせずに相続開始後3年を過ぎると、10万円以下の過料の対象となります。
遺産分割協議がまとまらず、速やかに相続登記をできない場合には、新たにつくられた『相続人申告登記』の制度を利用するのが良いでしょう。
相続登記の義務化は2024年4月1日施行です。
施行日以前に発生した相続にも適用されます。
相続税は、相続が発生したことを知った日から10カ月以内に申告し、納税となります。申告期限内に申告をしない場合、無申告加算税や延滞税が課されます。
また、10カ月以内に遺産分割協議がまとまらない場合、配偶者控除の特例や小規模宅地の特例など相続税額を低くする特例が使えません。
相続税の対象になる場合は、この期限を意識しましょう。
相続税の申告は税理士の担当分野となります。もしお知り合いの税理士がいらっしゃらない場合には、ご紹介することも可能です。
遺産分割協議を行い、相続財産(遺産)の分け方が決まったら、遺産分割協議書を作成します。法定相続人全員で遺産分割について話し合った結果を書面にまとめて残すことで、相続の内容について相続人全員が合意したことを証明できます。遺産分割協議書は、相続登記や銀行での手続きなど、多くの相続手続きにおいて提出が求められます。遺言がある場合や相続人が1人の場合は作成する必要はありません。
遺産分割協議書の作成に不安がある方は、司法書士などの専門家にサポートを依頼すると良いでしょう。
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