今までも見てきたとおり、普通方式の遺言には、下記の3種類があります。
それぞれの、遺言にはそのメリットとデメリットがあります。
種類 | メリット | デメリット |
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自筆証書 |
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公正証書 |
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秘密証書 |
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以上のようなことを十分に検討したうえで、自分に一番合った遺言を作るようにしましょう。
しかし、私が、お勧めするのは、やはり『公正証書遺言』です。
そして、公正証書遺言を作る際は司法書士・行政書士などの専門家に依頼するのがなお安心だと思います。
遺言には遺言執行者を置くことができ、その資格に制限はなく、誰がなってもいいのですが、それもまた事前の打ち合わせの上、司法書士や行政書士を指名しておけば、あとになって遺言執行者に就任してもらえるかどうかの心配もいりませんし、全てが職務上のこととして円滑に進むことになります(相続法改正により、遺言執行者の権限が明確化されました。施行日:2019年7月1日)。
証人2人にも、その司法書士などがなってくれますし、司法書士などには法律上の守秘義務があるので、遺言の内容が外に漏れる心配はありません。
それに、毎日の仕事にいちいち関心を持つこともなく、遺言者の家族に会うこともありません。
でき上がった遺言も、そのまま司法書士に保管しておいてもらえば、なお安全で、そこに保管してある旨を必要な者にだけ知らせておき、さらに、司法書士に家族には秘密にしておいて欲しい旨を伝えておけば、これはもう秘密証書遺言を作ったのも同然です。
秘密証書遺言は、内容は自分で作らなければいけませんが、公正証書遺言の作成を司法書士に頼んでおけば、内容についての失敗をすることもありません。
公証人は、方式については厳格に注意を払いますが、遺言の内容については立ち入ることはなく、細かい相談にはのってくれません。
しかし、司法書士に遺言の作成を頼めば、全ての事情を考慮して最も良い遺言を作ってくれるのです。
また、秘密証書遺言は、公証人が保管してくれるわけではありませんが、公正証書遺言の場合は原本は公証役場に保管されますし、しかも現実の正本・謄本の保管も司法書士がするので安心です。
このようにいろんな点で司法書士などの専門家が関与して作成した公正証書遺言は秘密証書遺言に勝るのです。
ですから、公証人を誰にするかという前の段階から、司法書士・行政書士にお願いするのがよいでしょう。
確かに、専門家に頼めば、それだけの費用はかかりますが、何千万円もする遺産の行方を確実にすると思えば、それほど高いとはいえないでしょう。
下手な遺言を書いてしまい、余計問題がこじれる場合もありますので、少しでも不安を感じている人は、一度当事務所にご相談下さい。
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遺言を書くにあたって気をつけて欲しいことは内容を明確に書くということです。
『明確に』とは、つまり意味不明にならないように主語・述語をそのつながりをハッキリと書くということです。
特に、遺言の内容が2通りに解釈されることのないように書かなければいけません。
要は、下手にいい子ぶって内容を曖昧にしないで『断固として決める』ということです。
人の名前を間違えることはあまりないと思いますが、家や土地の所在地や地番の間違いは少なくありません。
また、人の名前を間違えることはあまりないと思いますが、書いたつもりで書き忘れることはたまにあります。
ですから、遺言を書く前に必ず『相続人名簿』と『財産目録』を作ることをオススメします。
このときの財産目録にその他の財産という項目を作っておき、細かいものは一切そこに入れてしまうのです。
そうすることによって、できる限り書き落としがなくなる様にすることができます。
遺言書は本来、結論だけを書けばいいのですが、なぜ、そのような配分になったのかという根拠を書いておくのがいいでしょう。
自筆証書遺言であれば、遺言書自体に根拠を書いてもいいですし、公正証書遺言の場合は、遺言書の他にメモで補ってもいいでしょう。
寄与分とは、亡くなった方(被相続人)の財産の維持や増加に特別貢献(特別の寄与)した相続人・親族がいた場合に、その相続人等に法定相続分以上の財産を相続させるという制度です。
自分の遺産が現在あるおかげは、過去にある者の寄与があったから、という人も中にはいるでしょう。
寄与分の主張をする場合、遺言で相続分の指定をする際に他の相続人の納得を得るために、そのような寄与の内容を具体的に書いておくのも一つの手です。
これは、関係者を納得させるためだけにとどまらず、法律的な意味を生じさせるためにも有効なことなのです。
と、言いますのも遺留分との絡みがあるからです。
遺言といえども、遺留分を侵すことはできませんが、それが寄与分となると話は別になるからです。
そもそも、寄与分というのは本来であれば遺産の範囲外であったものが、たまたま名目上、遺産になって残っていたという発想に基づくものですから遺留分によって支配されることはないのです。
だから、遺言の内容が遺留分に抵触する恐れがあるのであれば、この寄与分のことを遺言書に記載しておくのも一つのテクニックといえるでしょう。
特別受益とは、以前に相続人の誰かに何かしらの贈与をしてあって、それが相続分の前渡しとみなされるもののことです。
相続人は、普通家族であることが多いので、このような贈与があった事実はみんなが知っていますが、ときには、この贈与が誰も知らないことだってないとは言えません。
ですから、遺言書でそのことに触れておいて関係者に注意を促すことが必要なときもあるでしょう。
また、逆に、特別受益がなかったのであれば、その旨を書いておいた方がいい場合もあるでしょう。
例えば、ある土地を相続人の1人に与えた場合、それが贈与であれば特別受益になってしまいますが対価をもらっているのであれば特別受益にはならないわけですから、その旨を遺言状やメモに残しておくのがいいでしょう。
ただし、そのような書類があったという事と、本当に対価の支払があったということは別問題ですので通帳などによって振込みがあったことを立証する必要が別にありますが、仮にそのような裏づけがなくても、一応対価の支払があったことを遺言者本人が認めている限り反証がない限りそれ自体が一つの証拠になるので、そのことを明記しておくということは十分に意味があるといえるのです。
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サンプルを参考にしてください。ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。
遺 言 書 私の遺産は全て、妻である花子に相続させる。 |
令和○年○月○日 |
甲野 太助 印 |
と、言うのも兄弟姉妹には遺留分がありませんので、この遺言書があれば十分というわけです。
遺 言 書 | |
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1.妻花子は2分の1 長男一郎は4分の1 次男二郎は8分の1 三男三郎は8分の1 | |
| 2.甲野家の祭祀は、長男である一郎が主宰するものとし、祖先の供養を怠っては ならない。前条において長男一郎の相続分を4分の1に指定したのは、祖先の 祭祀の費用を支弁するためである。 |
| 3.遺言執行者は次の者を指名する。 |
都道府県市町村番地 | |
司法書士 ○○○○ | |
令和○年○月○日 | |
甲野 太助 印 |
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